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特許・意匠・商標の補正について

2010.12.05

伊藤 寛之

特許の補正について
新規かどうかの基準は、出願当初の明細書になります。以下のように条文から明らかです。
(願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)
第17条の2
3 第1項の規定により明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をするときは、誤訳訂正書を提出してする場合を除き、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面・・・に記載した事項の範囲内においてしなければならない。
新規事項の観点からは、一度補正で減縮したものを再度補正で元に基づくことは可能です。
但し、最後の拒絶理由通知を受けた後は、以下の規定によりさらに制限されますので、減縮したものを元に戻すことはできません(言い換えると、最後の拒絶理由通知を受けた後は、新規事項でないことという制限に加えて、以下の条文によって規定される制限が加わります)。
第17条の2
5 前2項に規定するもののほか、第1項第1号、第3号及び第4号に掲げる場合(同項第1号に掲げる場合にあつては、拒絶理由通知と併せて第50条の2の規定による通知を受けた場合に限る。)において特許請求の範囲についてする補正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
1.第36条第5項に規定する請求項の削除
2.特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)
3.誤記の訂正
4.明りようでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)
以下のページに特許庁の解説があります。
特許・実用新案 審査基準
第III部 明細書、特許請求の範囲又は図面の補正
第1節 新規事項
第2節 発明の特別な技術的特徴を変更する補正
第3節 最後の拒絶理由通知後の特許請求の範囲についての補正
第4節 明細書、特許請求の範囲又は図面の補正に関する事例集
意匠と商標の補正は、特許とは全く別物と考えた方がいいと思います。
意匠では、要旨変更にならない範囲で補正を行うことができますが、事実上、実体的な補正はできないと考えた方がいいと思います。以下のページに特許庁の解説があります。
意匠審査基準
 第8部願書・図面等の記載の補正
 第1章補正<PDF 349KB>
 第2章補正の却下<PDF 34KB>
商標では、商標自体の補正は意匠と同様に、事実上行うことができませんが、拒絶理由がある指定商品・指定役務を除外するために、指定商品・指定役務を削除したり減縮したりすることができます。以下のページに特許庁の解説があります。
商標審査基準
 第12 第16条の2及び第17条の2(補正の却下)

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