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優先権主張の有効性及び新規性喪失 (中国基礎出願A→中国基礎出願B→中国でPCT出願→日本移行)

2017.03.16

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2つの中国優先権に係る優先権主張の有効性及び新規性喪失について特許庁に問い合わせしました。
特許庁 調整課審査基準室からの回答は以下の通りです。
(問い合わせ日2016.12)
【質問1.1】
下記状況である場合、移行された日本の特許出願において、中国の特許出願Bに基づく優先権効果は確保されるのでしょうか?
【現状】
(1) 中国の特許出願Aを優先権主張し、中国で特許出願Bを提出した。
(2) 特許出願Bを優先権主張し、中国特許庁を受理官庁としてPCT国際出願を提出した。この時点で、出願Aはまだ未公開のまま、取り下げられた。
(3) 上記PCT出願に基いて、日本国内移行手続をした。
【回答1.1】
出願Aの取り下げは、出願Bの出願以後になされております。
その場合は、出願Bには、パリ条約4条C(4)の「 (2)にいう最初の出願と同一の対象について同一の同盟国においてされた後の出願は,先の出願が,公衆の閲覧に付されないで,かつ,いかなる権利をも存続させないで,後の出願の日までに取り下げられ,放棄され又は拒絶の処分を受けたこと,及びその先の出願がまだ優先権の主張の基礎とされていないことを条件として,最初の出願とみなされ,その出願の日は,優先期間の初日とされる。」は適用されません。
そのため、出願Bはパリ条約4条にいう「最初の出願」に該当しません。
よって、国内移行した日本出願において、出願Bの記載事項のうち、出願Aに記載された部分については、優先権主張の効果が認められません。
【質問1.2】
もし、前記出願Bで主張した出願Aに基づく優先権主張自体を取り下げたら(出願Bは優先権主張なしの普通の中国出願になります)、日本移行された出願において、Bの出願日は優先日として認められるのでしょうか? 
【回答1.2】
出願Bで主張した出願Aに基づく優先権主張自体を取り下げても、優先権主張の効果は変わりません。(国内移行した日本出願において、出願Bの記載事項のうち、出願Aに記載された部分については、優先権主張の効果が認められません)出願Bは、相変わらず、パリ条約4条にいう「最初の出願」に該当しないからです。
【質問1.3】
出願Bで主張した出願Aに基づく優先権主張自体を取り下げても、優先権主張の効果は変わらないのであれば、前記中国特許庁を受理官庁としたPCT国際出願 (当該PCT出願が提出された時に、前記中国出願Bはすでに公開されています)はすでに公開されておりますので、この場合、日本移行した出願の新規性は喪失されることになるのでしょうか?
なお、出願A、出願B、PCT出願、及び日本出願は、特許請求の範囲に記載の内容がほぼ同じです。
【回答1.3】
日本移行した出願において、審査官が、出願Bに記載の発明が同盟国における「最初の出願」ではないとして、優先権出張が認められないと判断したのであれば、出願Bの公開公報を引用例として新規性を否定し得ます。
特許庁 調整課審査基準室                                 
                                                                         by YQ

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