発明者の署名が取れない場合のバイパス出願の活用
2012.10.03
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PCT出願を行なってから米国への国内移行までの間に発明者が会社を辞めてしまって、コンタクトがとれない場合があります。従来でもこのような場合には、以下の規定にもとづいて、(1)サインをもらおうと頑張ったことと、(2)頑張った証拠を提出すれば、発明者からの署名の一部をなしで済ますことができました。しかし、この頑張ったことの証拠がなかなか大変で、petitionを出しても却下されることもあるようで、できる限り避けたい手続のようです。
§1.47 Filing when an inventor refuses to sign or cannot be reached.
(a)If a joint inventor refuses to join in an application for patent or cannot be found or reached after diligent effort, the application may be made by the other inventor on behalf of himself or herself and the nonsigning inventor. The oath or declaration in such an application must be accompanied by a petition including proof of the pertinent facts, the fee set forth in § 1.17(g), and the last known address of the nonsigning inventor. The nonsigning inventor may subsequently join in the application by filing an oath or declaration complying with § 1.63.
2012/9/16施行の新法では、企業が出願人になれることになり、署名の要件が少しだけ緩和されました。発明者の署名は引き続き必要ですが、署名がどうしても取れない場合は、PTO/AIA/02 という書類を提出し、そこで「頑張りました」宣言すればいいようです。証拠が不要になるので、従来よりもはるかに容易になるはずです。現地代理人に確認したところ、そのように考えていて、できる限り旧法での手続は避けるべきだとの意見でした。
新法・旧法のどちらが適用されるかは、米国出願日で決まりますが、PCT出願については、PCT出願日で決まります。2012/9/16よりも前のPCTの国内移行では、自動的に旧法が適用されることになります。
そうでは、発明者の署名がもらえない場合はどうするか?
PCT出願を基礎としたバイパス出願という手があります。バイパス出願は、2012/9/16以降の出願ですので、新法が適用になり、発明者の署名の要件も緩和されます。
つまり、2012/9/16より前のPCT出願は、そのまま国内移行すれば旧法が適用され、バイパス出願すれば新法が適用されることになります。このように、実質的に同じ内容でありながら、旧法と新法のどちらでも選ぶことができます。
新法は、署名要件が緩和されているという反面、会社のPOAが必要になるという点で若干面倒な部分もあります。状況に応じて、どちらにするか決定するといいでしょう。