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ユニクロ帝国の光と影(ビジネスの仕組みを変える)

2019.04.12

伊藤 寛之

最近、この本を読みました。題名の通り、ユニクロが成長していく過程や、その過程において幹部の首がバッサバッサと切られていったという点などが書かれています。

ユニクロが成長していく過程においては重要だったのは、從來は、アパレル業界では、メーカーが小売店に対して委託販売する形式であったのを、ユニクロが全量買い取りする形式に変えたことであったようです。委託販売の場合、小売店は売れなくても返品することができるので、リスクが小さい反面、仕入れ原価が高止まりしたり、商品についての小売店の発言力が強くならないという弊害があったようです。そこで、ユニクロは、全量買い取り式にして、商品を安く仕入れることを可能にして、ユニクロの基礎を気づきました。その後は、中国などの工場との連携を強めて、自社の企画商品を製造するようにして、今に至るようです。
ユニクロのビジネスについては賛否がありますが、ビジネスの仕組みを変えることによって、優れた商品を提供することを可能にした点は、素晴らしいと思います。
弊所においても、特許業界の一般的なやり方をなるべく踏襲せずに、合理的・効率的であると考えるやり方をどんどん採用して、安くて品質のいいサービスを提供する仕組みを構築しています。
弊所は外国出願のサービスを非常に安く提供する仕組みを作っています。
単に安くするには、事務所の利益率を下げて所員の給与を下げればいいので、簡単なんですが、それだと経営陣も所員もやってられないので永続性がありません。そこで、弊所としては、業務システムの効率化・現地との連携の効率化・翻訳作成の効率化などを進めることによって、弊所の請求額を抑えても利益が出る体制にしています。
ある大手事務所では、今だに、米国代理人に紙で出願の依頼をしているようです。現地代理人は、紙をPDFにして電子出願しますので、紙での依頼だと、英文明細書の印刷、印刷漏れがないかの確認、Fedexの手配、現地代理人によるPDF化、PDFの電子出願という工程が必要になります。こんなことをしていると、人件費・郵送費がかかりますし、各工程でミスが発生するリスクも小さくありません。弊所では、現地代理人と共有フォルダを作成していますので、英文明細書を共有フォルダにコピーすれば終わりです。圧倒的に手間が少ないですし、事故の可能性は圧倒的に小さいはずです。
10年ほど前は、上掲の事務所のようなやり方が一般的だったと思いますが、インターネットサービスの進化によって従来のやり方が時代遅れになってきています。すでにルーチンが固まっている大手事務所ほど、時代の変化についていくのに苦労しているような気がします。弊所は、新参者で、ルーチンが全くなかったので、現在のテクノロジー環境下で、最も合理的な方法で業務を進める方法を考えると、上記のような極当たり前の方法に行き着きました。
また、外国出願で費用が高額なのは、翻訳費用です。従来型事務所の多くは、翻訳会社に翻訳を外注して、それを所内でチェックしているということが多いと思います。この場合、当然、翻訳会社の利益が翻訳代に載せられるので、事務所が請求する翻訳費用が高額になってしまいます。弊所では、所内に語学能力が高い所員を揃えて、基本は内製とした上で、どうしても処理しきれないものは、弊所が直接契約するフリーの翻訳者に手伝ってもらっています。このフリーの翻訳者は、弊所の所員が弊所のやり方を徹底的に教えますので、所員と同等又はそれ以上の品質のものを仕上げることができています。
このようなやり方では、弊所が実質的には翻訳会社のような機能を果たしています。そのメリットとしては、翻訳会社を間に挟まない分だけ、フリーの翻訳者に安く仕事を受けて頂いて、弊所の請求費用を抑えることができることと、翻訳の不満点について詳細にフィードバックをしますので品質が絶えず向上し、弊所側での負担も小さくなることが挙げられます。翻訳会社は、通常、フリーの翻訳者を抱えており、その翻訳者の情報は、決して教えてくれません。このため、翻訳に疑問があったときに一方的なフィードバックを行うことができたとしても、そのフィードバックに対する翻訳者の意見を聞くことは容易ではありません。翻訳者は、翻訳に関しては、極めて高い知見を有していることも多く、翻訳上の問題についてディスカッションができないことは非常に大きな問題です。この点も弊所が翻訳会社を使っていない理由の一つです。
(なお、弊所との仕事は、フリーの翻訳者にとっても大きなメリットがあります。詳細なフィードバックを受けることによって、一人よがりの翻訳を脱することができるからです。)
ここで挙げたもの以外にも弊所は常に業務改善を行っており、時代の変化に合わせて、合理的な仕事のやり方を追求することによって、所員を犠牲にすることなく、低価格・高品質のサービスを提供する仕組みを構築しています。