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特許査定後のIDSへの対応は悩ましい

2017.07.12

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米国では、特許査定が出て、登録料を支払った後、数週間程度で、特許が発行されます。IDSの義務は、特許発行まで続きますので、登録料の支払後にファミリーの出願で新たな引例が引用される場合があります。
このような引例は、特許性に影響を与えるものである場合、IDS提出を行う義務があり、その義務を怠った場合は、将来、IDS義務違反によって権利行使が制限される可能性があります。

このようなタイミングでIDS提出を行う場合、原則として、IDSと共にRCEを行う必要があります。ただ、RCEは、庁費用がUSD1200(1回目)又はUSD1700(2回目以降)が必要になるので、費用負担が大きいです。

そのような負担を和らげるために、QPIDSという制度が試験的に導入されています。この制度では、一旦、RCEを請求して費用を支払う必要がありますが、審査官が引例を検討した結果、審査の再開が不要と判断した場合は、RCEの費用が返還されますので、出願人の負担が和らげられます。一方、審査官が審査の再開が必要であると判断した場合は、RCEの費用が返還されず、特許査定がなかったことになります。
Quick Path Information Disclosure Statement (QPIDS) | USPTO : https://www.uspto.gov/patent/initiatives/quick-path-information-disclosure-statement-qpids

お客さんからは、「特許査定後にファミリーで新たな引例が引かれた場合に、IDSをした方がいいですか?」という質問を受けることがあります。このような場合、弊所としては、立場上、「特許性に影響を与える文献はIDS提出の義務がありますので、IDS提出提出すべきだと思います。」と答えています。

ただ、「せっかく特許査定になったのに、IDS提出を行った結果、RCE費用を没収された上に、特許査定がなかったことになり、その後に頑張っても、再度、特許査定をもらうことができず、これまでの努力と費用が全て水の泡になるという悲惨な結果になる可能性があるので、そのような結果を受け入れる心の準備をしておいて下さい。」という事実をお話することはあります。

このような話を聞いたところで、出願人には、IDS提出を行わないという選択肢がないので、アドバイスにもならないのですが、事前に心の準備をしておくと、ショックが少しは和らぐかも知れません。

なお、IDS義務違反についての詳細は、以下の記事にまとめています。IDS義務違反による不公正行為の立証は容易ではありませんし、IDS義務違反が問われるのは、侵害訴訟を提起したときか、非侵害の確認訴訟を起こされたときだけなので、それ自体がレアです。
・IDS義務違反による不公正行為の立証には、出願人が文献の重要性を知った上で、提出しないことを故意に決定したことを明確な証拠(clear and convincing evidence)での立証が必要
・出願人が文献を知っていて、その重要性を知っていたはずであり且つPTOに提出しないことを決定したはずであることを立証しても、欺く意図を立証したことにならない。

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