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独立項の数はできるだけ減らした方がいい

2013.03.09

伊藤 寛之

色々な明細書を見ていると、発明の本質が共通していて、書き方を工夫すれば、独立項と従属項の関係にできるにも関わらず、どちらも独立項にしてしまっているものが散見されます。
日本の審査官は、装置発明について複数の独立項があっても、発明の本質が共通していれば単一性違反を問うことなく、全てを審査してくれる傾向が強いですが、外国でも同様であるとは限りません。
顕著なのがEPで、EPでは、同一カテゴリーについて独立項は1つであり、審査基準に列挙されているいくつかの例外的なケースの場合には複数の独立項を認めてくれます。その例外規定には、「同一の課題を解決するための代替的手段」が含まれているので、審査官を説得すれば複数の独立項を認めて貰える可能性がありますが、OA費用のアップに繋がりますし、審査官の考えにも依存することになるので、あまりおすすめできません。EPでは、同一カテゴリーに2つの独立項は例外的だと理解して実務をすべきです。
また、米国でも同様です。米国の審査官は、複数の独立クレームの審査が嫌いで、限定要求が大好きです。出願1件処理してポイントがいくつ、という制度で運営されているので、ポイントアップに最適化された当然の行動です。複数の独立クレームを見つけると、なんとかして限定要求ができないか考えるでしょう。分割出願してくれれば、明細書を読まなくてポイントを稼げるので、こんなに美味しいことはありません。
このように、将来、諸外国で審査されることを考えると、発明の本質が共通しているものについては可能な限り、1つを独立項で、残りを従属項にすべきでしょう。
また、同一課題を解決するための手段が複数存在していて、本来的には、複数出願にすべきところ、出願戦略上、一つの出願にまとめたいことも頻繁にあります。このような場合、本質的には複数の発明が含まれているので、複数の独立項が発生しうる場面ですが、以下のような方法で、強引に1つの独立項にしてしまった方がいいと思います。以下の3つの発明を3つの独立項で記載すると確実に単一性違反になりますが、1つであれば審査官は、気分的に単一性違反を指摘しない傾向があると思います。審査基準上は、単一クレーム内でも複数クレームであっても、単一性の基準は同じですが、1つのクレームにまとめれば、「まぁ、いっか」となるのでしょう。
【請求項1】構成Aと構成Bを備える半導体装置であって、以下の構成(1)~(3)の少なくとも1つを備える、半導体装置。
(1)構成Cをさらに備える。
(2)構成Aは、構成aである。
(3)構成Aは構成Bと〇〇の関係である。

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