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特許査定後の分割出願は、分割直前の明細書が基準

2011.09.22

伊藤 寛之

補正ができる時期の分割出願は、出願当初明細書の内容に基づいて行うことができますので、何も考えずに出願当初明細書をそのまま分割出願しておいて、その後、手頃な請求項に補正すればOKです。
しかし、平成18年改正で導入された拒絶査定又は特許査定後の分割出願は、「補正ができない時期の分割出願」に該当し、この場合、分割の範囲は、分割直前の明細書等の範囲内になります。つまり、補正後の内容です。
例えば、請求項1に構成を追加する際に、明細書の関連記載についても同様の補正を行って、特許査定を受けた場合、分割出願の範囲は、補正後の請求項1の範囲に限定されます。そうそうると、出願当初の広い範囲での権利化を狙うことはできません。
これを避けるために、分割を考えている出願については、出願当初明細書の開示内容を補正によって変更しないようにすることが重要です。
明細書作成時には、請求項の内容を明細書にコピペすることが重要です。また、過去の明細書については、補正時に以下のような感じで付記として、明細書の最後に出願当初クレームを貼り付けておくのがいいと思います。
(付記)
(付記1)
・・・を備えた裝置。
(付記2)
・・・を備えた付記1の裝置。
化学関係の審査官は、明細書中の「実施例」が補正によって請求項1の範囲から外れた場合、「参考例」に変更することを要求する場合があります。分割出願で広い範囲で権利化を図る場合は、この変更を受け入れると問題があります。
これも(付記)で対応するのがいいと思います。
参考:
平成18年法律改正(平成18年法律第55号)解説書
以下、審査基準の抜粋です。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/tukujitu_kijun/part5chap1.html
2.2 実体的要件
分割出願が原出願の時にしたものとみなされるためには、2.1の形式的要件に加えて、補正をすることができる時又は期間内に出願の分割がなされたか否かに応じて、以下の実体的要件のすべてを満たしていなければならない。
(1) 出願の分割が補正をすることができる時又は期間内になされた場合(第44条第1項第1号)
() 原出願の分割直前の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明の全部を分割出願に係る発明としたものでないこと
() 分割出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項が、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内であること
(2) 出願の分割が、特許査定の謄本の送達後30日以内、又は拒絶査定の謄本の送達後3月以内であって補正をすることができる時又は期間(審判請求と同時、あるいは拒絶理由通知において第50条の規定により指定された期間)を除く期間内になされた場合(第44条第1項第2号、第3号)
() 原出願の分割直前の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明の全部を分割出願に係る発明としたものでないこと
() 分割出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項が、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内であること
() 分割出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項が、原出願の分割直前の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内であること