従属請求項を設ける意味について
2010.11.10
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従属請求項を設ける意味について
侵害するかどうかは、全ての構成要件を充足しているかどうかで決まります。
G+A+B+Cは、A+B+Cを含んでいるので、請求項1を侵害します。
一方、EやFは含んでいないので、請求項2と請求項3は侵害しません。
特許された後は、全ての請求項は独立して存在します。
従属請求項は、独立項よりも権利範囲が狭い反面、無効になりにくいという側面を有しています。
被疑侵害品が、E+A+B+Cという構成を有しているとします。この被疑侵害品は、請求項1と2の両方を侵害します。
侵害者側が先行技術調査をして、F+A+B+Cという先行技術を見つけたとします。これによって、請求項1は、無効になりますが、請求項2は、Eという構成が容易想到でなければ、生き残ります。
このようなケースでは、従属請求項が重要です。
請求項1しかなくても、訂正審判又は訂正請求で減縮することができますが面倒です。
また、A+B+Cという請求項を減縮して、A+B+C+Eという請求項とA+B+C+Fという請求項を作りたいしても、訂正審判では請求項の数を増やすことは認められませんので、どちらか一方しか作れません。
以上のような理由で、
【請求項1】A+B+Cの装置。
【請求項2】Eをさらに備えた請求項1に記載の装置。
【請求項3】Fをさらに備え請求項1又は2に記載の装置。
としておくと、何かと有利だといえます。
鉛筆の例では、四角形の鉛筆は、請求項1を侵害しますが、請求項2は侵害しません。