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外国で意匠公報が発行された場合の新規性喪失の例外の取扱

2010.11.09

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意匠法4条2項では、「意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して」公知になった意匠について、
6ヶ月以内に出願した場合は、公知にならなかったものとみなすことが規定されています。
外国で発行された公報で公知になった場合に、この規定が適用されるかどうかが問題となります。
この点は、意匠便覧に詳細に記載されていて、以下のように説明されています。

意匠法第4条第3項にいう「証明する書面」として内外国特許公報等が提出された場合の取扱い

意匠法第3条第1項第1号又は同条同項第2号に該当するに至った意匠について意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるために内外国特許公報等(内外国の特許公報、実用新案公報、意匠公報及び商標公報)が意匠法第4条第3項にいう「証明する書面」として提出された場合、これらの公報へのその意匠の掲載は意匠法第4条第2項の「意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因」したものとは認められないから、その意匠については同規定の適用を認めず審査を進める。
特許法第30条第1項にいう「刊行物に発表」とは、特許を受ける権利を有する者が自ら主体的に刊行物を発表した場合をいうのであって、例えば、公開特許公報は、特許を受ける権利を有する者が特許出願をしたことにより、特許庁長官が手続の一環として特許法第65条の2の規定に基づき出願に係る発明を掲載して刊行するものであるから、これによって特許を受ける権利を有する者が自ら主体的に当該発明を刊行物に発表したものということはできない。これは、外国における公開特許公報であっても同様である、と解されている。(昭和61年(行ツ)第160号 平成元年11月10日最高裁判決)
そうすると、意匠法第4条第2項にいう「意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して」についても、この最高裁判決の論旨から「意匠登録を受ける権利を有する者自らの主体的な行為に起因して」と解すべきである。
また、仮に外国特許公報等に掲載されることを新規性喪失の例外事由として認めることは、パリ条約による優先権等の主張の利益と重ね過重な保護を与えることとなったり、時機を失した出願の救済につながることとなり、結果として第三者に不測の事態をもたらす場合も予測されることから、創作者の救済措置として必要な限度を越えていると言わざるを得ない。
したがって、意匠登録出願前に当該意匠が上記公報等へ掲載されることは、法の予定する新規性の喪失の例外事由に該当せず、「意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因」したものとは認められない。
よって、本文のように取り扱うものとする。

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