文字を色分けすると「普通に表示するものではない」と判断された審決
2012.10.02
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http://shohyo.shinketsu.jp/originaltext/tm/1259775.html
1 本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成よりなり,第9類「電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電池,電線及びケーブル,配電用又は制御用の機械器具」及び第28類「携帯用電子ゲーム機」を指定商品として,平成22年7月6日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(概要)
原査定は,「本願商標は,『3D』の文字を未だ普通に用いられる範疇の方法で表したものであるところ,『3D』の文字は,『三次元。また,立体写真。立体映画。』の意味として知られているものであって,『立体的な(3D)映像を見ることができるテレビ』を『3Dテレビ』と称していたり,『3D対応パソコン』,『3DCGソフト』,『3D対応ゲーム』等の表示が使用されたりしていること及び特に本願の指定商品中『電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品』及び『携帯用電子ゲーム機』との関係においては,立体的な画像や映像を作成・記録・表示する様々な機器やソフトウェアが開発され,販売されている実情を考慮すると,本願商標をその指定商品中,例えば『立体的な映像を表示する機能を有するテレビジョン受信機』や『立体的な映像を表示する機能を有する携帯用電子ゲーム機』等の商品について使用したとしても,『立体的な映像や画像を表示・記録・作成する機能を有する商品』である旨表したものと認識されるにとどまるというのが相当であるから,単に商品の品質,機能等を表示したにすぎず,自他商品の識別標識としての機能を有さないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,前記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので,同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は,別掲のとおり,「3D」の数字・文字をやや斜体にし,厚みを持たせ,「3」の数字は金色,「D」の文字は銀色というように2つの文字で色を異にさせた上で,両字とも金属の光沢を表したものと看取されるように,グラデーションを施してなるものである。
そして,「3D」の字は,「立体的であること,3D映画の略」(「広辞苑 第六版」株式会社岩波書店)の意味を有するものであるところ,最近では,立体的な画像や映像を表示・記録する機器(例えばテレビジョン受信機,携帯電話機,パーソナルコンピュータ,携帯用電子ゲーム機)や立体的な画像や映像を作成するためのコンピュータソフトウェアが開発・販売されており,これらの商品の分野において,「立体的な画像や映像を表示すること」「立体的な画像や映像を記録すること」「立体的な画像や映像を作成すること」ほどの意味合いで,「3D」の字は広く一般に使用されているから,これらの商品との関係においては,「3D」の字それ自体には自他商品を識別する機能がないというほかない。
しかしながら,本願商標は,前述のように,「3」と「D」で色を異にするなど,その表示の方法に特徴を有するものであって,原審で説示するように,未だ普通に用いられる範疇の方法で表したものとはいい難い。
また,当審において調査しても,「3」と「D」で色を異にするなどした本願商標の表示の方法が,普通に用いられるものであるというに足る事実も発見できない。
してみれば,本願商標は,その構成全体をもって,その商品の品質などを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものとはいえない。そしてそうである以上,本願商標をその指定商品のいずれに使用しても,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるとはいえない。
したがって,本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法4条1項16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,妥当でなく,取消しを免れない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。