「五穀で健康」(指定商品:五穀入りの米)は識別力あり
2012.10.01
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http://shohyo.shinketsu.jp/originaltext/tm/1259788.html
1 本願商標
本願商標は、「五穀で健康」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成23年3月22日に登録出願され、指定商品については、原審における同年11月7日受付けの手続補正書により、第30類「五穀入りの米,五穀入りの脱穀済みの大麦,五穀を使用した食用粉類,五穀を使用した加工穀類,五穀を使用した調味料,五穀を使用した香辛料,五穀を使用した菓子及びパン,五穀を使用したべんとう,五穀を使用した肉まんじゅう」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『五穀で健康』の文字を標準文字で表してなるところ、近時、本願指定商品との関係の深い食品業界において、商品の品質の多様化の一として、『健康の維持・促進のための食材を加味・加工』することをその特徴とする商品の製品化が図られている実情がみられることよりすれば、全体として『五穀の効能で、健康の維持・促進を図る』旨を端的に表示したと看取させるにすぎないものであるから、出願人が本願指定商品中、例えば、『五穀入りの商品,五穀を加工した加工品』に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質の効果を表示する、販売促進用のキャッチフレーズの一類型であると理解するに止まり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「五穀で健康」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中前半の「五穀」の文字は、「人が常食とする五種の穀物。米・麦・粟・豆・黍または稗など諸説がある。穀物の総称。」の意を、また、後半の「健康」の文字は、「身体に悪いところがなく心身がすこやかなこと。」の意をそれぞれ有するものであるが、その構成文字全体としては、原審説示の如き意味合いを認識させるものとはいい難く、むしろ、特定の意味合いを有しない造語を認識させるものとみるのが自然である。
また、当審において、職権をもって調査するも、本願指定商品を取り扱う業界において、「五穀で健康」の文字を使用するのは、請求人のみであって、「五穀で健康」等の文字が、顧客吸引のための宣伝文句を表示するものとして一般に使用されている事実を発見することもできなかった。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当でなく、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。