【SKIPの知財教室(IP Hack ®)】じっくり®法解説 Claim #6 商標とは?種類・定義について解説
2025.04.15
SKIP
商標とは?種類・定義について解説
ビジネスにおいて「ブランド」は重要な資産です。中でも、企業やサービスの顔とも言える「商標」は、商品やサービスの信用力を象徴し、顧客との信頼関係を築く鍵となります。
この記事では、商標とは何か、どのような種類があり、どのように保護されるのかについて、わかりやすく解説します。
商標とは
商標とは、企業や事業者が自社の商品やサービスを他社のものと区別するために用いるマークであり、名称やロゴ、図形などがこれにあたります。商品棚に並ぶ数多くの製品の中から、私たちが特定のブランドを選ぶとき、無意識に頼りにしているのがこの「商標」です。商標は、その商品やサービスの提供元を示すだけでなく、長年の品質や対応への信頼、安心感といった無形の価値も一緒に伝えています。
企業は、商標を通じて「これは自分たちの製品です」と市場に示すことができます。これは単なる名前付けではなく、消費者との信頼関係を構築するための重要なコミュニケーション手段とも言えます。
たとえば、あるロゴを見れば高品質を連想し、ある名称を聞けば安心感を得られるのは、商標に蓄積されたイメージと実績があるからです。その意味で商標は「もの言わぬセールスパーソン」と言えます。
商標の構成
商標は、単にマークそのものだけで成り立っているわけではありません。商標権としての保護を受けるためには、「どのような商品やサービスに使われるのか」とセットで捉える必要があります。
つまり、商標はマークと使用対象である商品・サービスの組合せによって、はじめて権利の範囲が明確に定まる仕組みになっています。
商標登録の出願時には、どのマークを商標として登録したいのかだけでなく、そのマークを使う予定の商品やサービスを具体的に指定する必要があります。
商標法では、物品に対して用いられる場合は「指定商品」、サービスに対して用いられる場合は「指定役務」と呼び、それぞれが商標権の対象となります。
たとえば、まったく同じデザインのロゴでも、片方が食品に使われ、もう片方が金融サービスに使われるのであれば、それぞれ別の商標として登録される可能性があるのです。
商標の種類・定義
商標には、企業のロゴやネーミングに代表される「文字」だけでなく、図形や音、色彩など、私たちの五感に訴えるさまざまなタイプがあります。
これらはすべて、商品やサービスの出どころを示すための手段として活用されており、商標法では「人の知覚により認識されるもの」であることが前提とされています。
以下は、商標として登録できる代表的な種類と、それぞれの特徴です。
商標の種類 | 特徴・説明 |
文字商標 | カタカナ・漢字・アルファベット・数字など、文字のみで構成された商標。ブランド名や商品名に多く使われる。 |
図形商標 | 幾何学的な模様やロゴマークなど、図形だけで構成された商標。視覚的な印象で認識される。 |
記号商標 | 記号や紋章など、特定の意味や象徴性をもつ要素を図案化した商標。伝統的な図柄に多く見られる。 |
立体商標 | 人形や容器など、立体的な形状そのものを保護する商標。視点によって見え方が変わる立体物が対象。 |
結合商標 | 文字・図形・記号・立体など、複数の要素を組み合わせた商標。個別ではなく組合せ全体が保護対象。 |
動き商標 | アニメーションのように、時間の経過で変化するデザインを対象とした商標。映像メディアに多い。 |
ホログラム商標 | ホログラフィーなどの手法で、見る角度や光の反射によって変化する商標。視覚的インパクトが強い。 |
色彩のみからなる商標 | 特定の色や配色だけで構成される商標。図形などの輪郭を伴わず、色の組み合わせそのものに識別性がある。 |
音商標 | メロディや効果音、サウンドロゴなど、音を通じて識別される商標。CMやデバイスの起動音に多用される。 |
位置商標 | 図形やマークが、商品に対して「どの位置に表示されるか」が特定される商標 |
商標には多様な表現方法があり、創造性に富んだものほど個性や独自性が際立ちます。企業や事業者は、自社のブランドを守るために、どのタイプの商標が最も効果的かを見極めながら活用していくことが重要です。
まとめ
商標は、企業の信頼やブランドイメージを視覚・聴覚などで表現し、消費者との信頼関係を築く重要な知的財産です。単なるマークではなく、「どのような商品やサービスに使われるか」との組み合わせで保護されることが特徴であり、種類も多岐にわたります。
今後商標登録を検討している方や、自社のブランドを法的に守りたいと考えている方は、専門家によるアドバイスを受けることが大切です。
SK弁理士法人では、商標に関するご相談から出願、権利化、模倣対策までワンストップでサポートしております。
商標についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。