【SKIPの知財教室(IP Hack ®)】じっくり®法解説 Claim #15 IoT関連技術の審査基準は?わかりやすく解説
2025.07.10

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IoT関連技術の審査基準は?わかりやすく解説
近年、IoT(モノのインターネット)技術は急速に発展し、さまざまな分野で活用が進んでいます。これに伴い、IoT技術に関する特許出願も増加していますが、特許を取得するためには特許法で定められた要件を満たす必要があります。
この記事では、IoT関連技術の特許審査基準について、発明該当性・新規性・進歩性のポイントを中心に、わかりやすく解説します。
特許を受けることができる発明とは
発明が特許を受けるためには、特許法で定められている要件を満たす必要があります。主な要件は以下のとおりです。
●特許法上の発明(第2条第1項)
●産業上利用することができる発明(第29条第1項柱書)
●新規性がある(第29条第1項)
●進歩性がある(第29条第2項)
●特許を受けようとする発明が明確(第36条第6項第2号)
●実施可能要件を満たしている(第36条第4項第1号)
このほかにも、特許法では次のような要件も規定されています。
●同じ発明が先に出願されていない(第39条、第29条の2)
●公序良俗に反していない(第32条)
特許出願の流れ
特許出願の流れは下記のとおりです。
| 手続きステップ | 内容 | 備考 |
| 特許出願 | 特許庁に出願する | 出願後、原則1年6ヶ月で出願公開される |
| 出願審査の請求 | 実体審査を受けるために請求 | 出願から3年以内に請求が必要 |
| 実体審査 | 発明が特許要件を満たすか審査 | 特許・実用新案審査基準に基づいて判断 |
| 拒絶理由通知 | 審査の結果、拒絶理由がある場合に通知される | |
| 意見書・補正書の提出 | 拒絶理由に対する反論・補正を行う | |
| 拒絶査定 | 拒絶理由が解消されない場合に決定 | |
| 不服審判 | 拒絶査定に対して不服を申し立てる手続き | |
| 知財高裁 → 最高裁 | さらに不服がある場合の審理ルート | |
| 特許査定 | 拒絶理由が解消された場合 | |
| 設定登録 | 登録され特許権が発生 | 出願から20年間、特許権が有効 |
| 特許公報 | 特許登録後に公報として公開 | |
| 無効審判・異議申立 | 登録後でも第三者が特許無効を申し立て可能 |
IoT関連技術の審査基準
ここでは、IoT関連技術の審査基準のうち、発明該当性、新規性、進歩性について解説します。
発明該当性
IoT関連技術は、コンピュータソフトウエアを必要とすることがありますが、発明に該当するかどうかの判断は、他のコンピュータソフトウエアを必要とする技術と変わりありません。
特許法第29条第1項柱書では、「産業上利用することができる発明をした者は、その発明について特許を受けることができる」と規定されています。
審査基準(第III部第1章2. 発明該当性の要件についての判断)によれば、特許法上の「発明」とは「自然法則を利用した技術的思想の創作」であることが求められます。
次のようなものは「発明」に該当せず、特許保護の対象とはなりません。
●自然法則そのもの
●単なる発見であって創作ではないもの
●自然法則に反するもの
●自然法則を利用していないもの
●技術的思想ではないもの
●課題を解決する手段は示されているものの、その手段では課題を解決することが明らかに不可能なもの
請求項に係る発明は、全体として自然法則を利用している必要があります。部分的に自然法則を利用していなくても、全体として自然法則を利用していれば「発明」に該当します。反対に、部分的に自然法則を利用していても、全体として自然法則を利用していない場合は「発明」に該当しません。
新規性
IoT関連技術は、一般に複数の装置や端末がネットワークで連携することで構成されています。そのため、こうしたシステムの一部を対象としたサブコンビネーションの発明として特許出願されるケースも見られます。
このようなIoT関連のサブコンビネーション発明における新規性の審査は、他のサブコンビネーション発明と同様の基準で行われます。
※ここでいうサブコンビネーションの発明とは、たとえば、複数の装置を組み合わせて構成される全体装置(コンビネーション)に対し、その構成要素である個別の装置や工程などの発明を指します。
審査においては、請求項に記載された「他のサブコンビネーション」に関連する内容も必ず検討対象とされ、省略して扱うことはできません。これらの内容が構造的・機能的にどのようにサブコンビネーションの発明を特徴付けるかを確認した上で、請求項に係る発明が認定されます。なお、この認定に際しては、明細書や図面の記載内容、出願時点の技術常識なども参考にされます。
進歩性
IoT、AI、3Dプリンティングに関連する技術の進歩性については、他の技術分野と同様の基準で判断されます。
これらの技術では、従来技術との差異として、ネットワーク接続による情報の活用や、学習済みモデルから得られる特徴的な出力、データ構造に基づく独自の情報処理などによる利点が現れることがあります。こうした利点が確認できる場合には、進歩性を評価する際に有利な要素として考慮されます。
まとめ
IoT関連技術の特許審査では、他の技術分野と同様に、発明該当性・新規性・進歩性などの各要件を満たす必要があります。ネットワークによる情報の活用や独自のデータ処理方法が評価される場面もあり、出願にあたっては発明の特徴を的確に整理することが重要です。
IoT技術は発明の内容が複雑になりやすく、審査対応でも専門的な判断が求められる場合があります。SK弁理士法人では、IoTをはじめとする最新技術の特許出願・審査対応の実績が豊富にあります。IoT関連の特許取得をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
出典:特許庁「IoT関連技術の審査基準等について~IoT、AI、3Dプリンティング技術等に対する審査基準・審査ハンドブックの適用について~」



