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日本の情報提供制度を利用して米国に情報提供する

2015.10.24

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 米国では、状況提供可能な期間は、(1)First Action前と(2)公開から6ヶ月のうちの遅い方までと規定されています。この期間を過ぎると、情報提供書を提出することは不可能になります。
 一方、米国にはIDS制度がありますので、相手方代理人に文献を送付することによって、IDSとして特許庁に文献を提出することが一般的に行われています。
 そこで、思いついたのは、米国の相手方代理人に送付するよりも、JPOに対して、米国宛の情報提供書を提出することです。
英語で情報提供書を作成し、米国の請求項や米国での出願人の主張に対する反論などを記載して提出します。
この方法は、以下のメリットがあります。
(1)証拠が残る
 相手方代理人へ文献を送付した場合、その事実の立証が困難です。一方、JPOに情報提供すれば、情報提供があった旨は出願人に通知されますので、出願人が情報提供の存在を知っていたことの証拠になります。但し、情報提供書自体は、出願人には送付されないので、より万全を期すためには、配達証明や内容証明でも出願人又は国内代理人に、情報提供の内容を送るのがいいと思います。
 相手方は、情報提供書に開示された文献は、IDS提出の義務があります。また、情報提供書自体も出願人に不利な内容が記載されていますので、これを提出しなければ、特許庁を騙す意図があったことの証拠になります。従って、JPOに提出された米国の情報提供書は、かなりの確率で米国審査官の元に届くことになります。
(2)米国代理人費用が不要
 JPOに提出するだけなので、米国代理人が関与しません。
(3)形式が自由
 米国の情報提供制度は、形式や翻訳文提出の義務などの形式面での制約が多いですが、日本の情報提供制度は完全にフリーフォーマットです。
(4)いつでも出せる
 米国の情報提供制度は、時期の制約が大きいので、First Actionに対する出願人の応答に対する反論や追加の文献の提出が不可能です。出願人の補正に対応する追加の文献の提出ができないのは非常に不便です。一方、JPOの情報提供制度は、いつでも出せます。

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