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発明者との面談では、仮想の悪役審査官を作る

2014.09.22

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社内”便利”士が、社外弁理士に求めること|社内 弁理士ぼさちゃんのブログ
この記事にあるような感じで、発明者との面談において、外部弁理士が発明の特許性を否定するような発言をすることは多いと思います。そのような発言をする理由としては、
(1)弁理士のモラルとして特許性があまりに低い発明について出願することは気がひける
(2)特許性をあえて否定することによって、発明者や企業内の知財担当を刺激して発言を引き出すことによって、本発明について、より深い知見を引き出す
などが考えられます。
私は、主に、上記の(2)の観点から、本発明に対してどのような拒絶理由が通知される可能性があるのかを伝えることが多いです。発明者は、特許的な観点からは、自身の発明の本当に優れた点を理解していないことが多く、依頼書には、発明の本当の重要なポイントが記載されていないことは少なくありません。そのような場合に、あえて、「本発明は、この文献とこの文献と組み合わせて進歩性がない」という点を伝えると、そのときに初めて、発明者は、「実は、この点がポイントだ」と話し始めることが少なくありません。
ただ、上記の記事で指摘されているように、特許性を否定する内容を下手に伝えると、発明者のモティベーションが低下したり、発明者との関係がギクシャクして生産的な議論にならなくなる可能性があります。
そこで、私が面談するときは、「審査官が・・・と判断する可能性がある」というように、審査官の発言である点を強調した上で、彼らがの判断は、審査基準によって縛られているので、本発明の斬新性とは乖離した判断をする傾向がある点を指摘します。そして、その上で、このような悪役審査官と戦うための武器を予め明細書に盛り込むために必要なことを発明者と一緒になって考えます。
このように、発明者との面談において仮想の悪役審査官を作り、発明者にとって耳が痛い内容は、全て悪役審査官のせいにしてしまうことによって、発明者との良好な関係を築きつつ、本発明のブラッシュアップさせるために発明者を刺激することが可能になります。
また、事案によっては、競合の知財担当者を悪役にすることもあります。依頼書中に若干不明確な表現がある場合、悪役の知財担当者がひねくれた読み方をすることによって不明確であるという無茶な主張をしてくる点を説明することがあります。単純に、私が、「不明確と判断される可能性がある」というよりも、こちらの意図がうまく伝わることが多いです。

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