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日本語明細書作成段階からIDSを意識する

2013.03.12

伊藤 寛之

米国出願時には、通常、明細書に記載されている先行技術文献をIDSとして提出します。
国内明細書に記載してしまうと、それ自体、発明者・代理人が文献を知っていたことの証拠になってしまうので、PCT出願段階や米国出願段階で、その文献を削除することはできません。また、明細書に記載されている文献をIDS提出しないと、後々突っ込まれて面倒なので、具体的な検討をせずに、全件IDS提出するのが原則です。
IDS提出作業が大変なのは、以下の場合です。
(1)先行技術文献の数が多い場合
(2)古い特許文献の場合
(3)非特許文献が入手しにくい場合
(4)非特許文献が日本語の場合
日本語文献については、特許庁が公開している英文の要約書を添付したり、公報全文の機械翻訳を添付して提出するのが一般的です。
(1)数が多いとそれだけ準備が大変で、コストアップにつながるので、必要最小限がいいと思います。
(2)英文要約書がない場合がある点、テキストデータがないので機械翻訳が難しい点で問題です。
(3)非特許文献は、英文で且つ文献が容易に入手可能であれば問題有りませんが、そうでないと面倒です。
(4)上記の(2)と(3)の両方と同様の問題があります。
IDSは、規則上は、重要度が高いものだけを出せばいいのですが、重要度が高いかどうかの判断は容易ではないので、結局、全て提出することになります。できるだけ費用を抑える方向に持っていきたいものです。
なお、実際は、IDS違反で特許を権利行使不能にすることは容易ではありませんので、必要以上に恐れる必要はないと思います。重要度を検討して提出するのもいいかも知れません。

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