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「おてがるバックアップ」(指定商品:電気通信機械器具)は品質表示

2012.09.05

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http://shohyo.shinketsu.jp/originaltext/tm/1258367.html
1 本願商標
本願商標は、「おてがるバックアップ」の文字を標準文字で表してなり、第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,プロジェクター及びその部品,電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物,ディスプレイ及びその部品,航空機搭載用赤外線カメラ」を指定商品として、平成22年10月6日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『おてがるバックアップ』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『おてがる』の文字は、『手数がかからないこと。簡易。軽便。』の意味を有する『手軽』を丁寧に表現した『お手軽』の文字の平仮名表記と認められ、また、『バックアップ』の文字は、『予備。特にコンピューターで、万一の場合に備えてデータを保存しておくこと。』の意味を有し、全体として、『万一の場合に備えるためのデータを簡易に保存する』ほどの意味合いが理解される。そうすると、本願商標をその指定商品中、例えば、万一の場合に備えてデータを保存することのできる機能を有する電気通信機械器具、同電子計算機用プログラム、同電子応用機械器具及びその部品等に使用しても、これに接する取引者、需要者は、上記意味合いを認識するにとどまるので、本願商標は、単に商品の品質(機能)を表示するにすぎないものと認める。したがって、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記機能を有さない商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「おてがるバックアップ」の文字を標準文字で表してなり、その指定商品を前記1のとおりとするものであるところ、その指定商品中、特に電気通信機械器具、電子計算機用プログラム及び電子応用機械器具に関連する分野においては、突然の記録機器の破損に備えて、記録されているデータやプログラムの複製を作成・保存することができる商品が多数製造、販売されており、そのような商品の紹介等に際し、手間がかからずに楽に複製を作成・保存できることを「お手軽バックアップ」と称していることは、原審が拒絶査定において提示した情報からも明らかであり、この点については、別掲に示す内容からも裏付けられるものである。
そして、本願商標は、請求人も認めるように、「手軽」を尊敬語により平仮名で表現した「おてがる」の文字と外来語として広く知られている「バックアップ」の片仮名の組合せからなるものであることからすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、これを該「お手軽バックアップ」の文字と実質的に同じものとして認識するというのが自然である。
そうとすれば、本願商標は、その構成文字全体から、「手間がかからずに楽に複製を作成・保存できる」ほどの意味合いを容易に看取させるものというべきできる。
してみれば、本願商標をその指定商品中、例えば、データ等の保存機能を有する電気通信機械器具、同電子計算機用プログラム、同電子応用機械器具等に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該商品が「手間がかからずに楽に複製を作成・保存することができる商品」であること、すなわち、商品の品質を表示したものとして認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
なお、請求人は、「インターネット上の使用例のみでは、社会通念上の使用を立証したことにはならないものであるから、同業者により取引上普通に使用されているとの客観的事実が形成されているとは認められない。」と述べるとともに、「おてがる(お手軽)」及び「バックアップ(Backup、BACKUP)」の各語とその他の語とを結合してなる商標が多数登録されていることからすれば、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、該商標の構成態様と指定商品との関係において、個別具体的に判断されるものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるところ、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、その構成全体をもって、商品の品質を表示してなるものと認識されるにとどまるものであることは、先の認定、判断のとおりである。
また、請求人の挙げた登録例は、いずれも本願商標とはその商標の構成又は指定商品が相違し、本願とは事案を異にするものといわざるを得ないものであるから、それら登録例の存在によって、本願商標についてした前記判断は何ら左右されないというべきである。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。

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