米国の特許弁護士(patent attorney)は、特許庁手続を代理する資格であるPatent Bar Examに 合格し、かつ何れかの州の弁護士試験に合格したものをいいます。
米国のロースクールは、3年のJDコースと、1年のLLMコースに分かれます。
JDコースは、契約・刑法・憲法等を勉強し、特許はほとんど全く勉強しません。
LLMコースは、専門分野を集中的に学ぶコースで、知財LLMであれば、特許・商標・著作権などを主に勉強します。
大部分の弁護士は、LLMコースには行きませんので、勉強に不熱心な弁護士の場合、Patent Bar Examの ための勉強以外には特許を勉強したことがないことになります。
LLMコースでは、米国特許法の判例法を系統的に勉強し、Patent Bar Examは、 米国審査基準の内容の理解度が問われます。Patent Bar Examでは、特許権侵害は試験範囲ではありません。従って、例えば「間接侵害」について、勉強したことがないという特許弁護士がいても全く不思議ではありません。
また、Patent Bar Examは、MPEPの全体像を理解していることと、早く英語を読む技術が要求される試験です。当然、ネイティブに非常に有利な試験です。この試験は、日本の弁理士試験よりもはるかに簡単で、きちんと勉強すれば数ヶ月程度の勉強で合格することができます。
以上のことより、米国弁護士のほとんど全てのスキルは、実務を通じて得ているものということになります。言い換えると、「米国特許弁護士」である ことはスキルがあることを意味せずに、実務を通じて優れたスキルを身につけた特許弁護士もいれば、全くダメな特許弁護士もいるということになります。