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外国出願を現地に直接依頼する場合のリスク

2015.04.20

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従来は、外国出願は、日本の特許事務所経由で現地の特許事務所に依頼して行うことが一般的でした。
近年は、現地事務所の日本語対応力の向上や電子メールなどでの現地のコミュニケーションが容易になったことから、
コスト削減のために、日本の特許事務所を経由せずに、現地事務所に直接依頼するケースも増えてきました。
特に、中・韓・台の事務所は、日本語対応力が高いので、中・韓・台については現地事務所に依頼し、他の国については日本の特許事務所経由で依頼するケースが多くあります。
直接依頼することによって、コスト削減が可能になる場合がある一方で、以下に示すように、管理上の問題が生じたり、コストが思ったほど削減されない場合があります。
1.外国出願通知義務上の問題
US
USについては、USで特許が発行されるまでの間は、原則として、全てのファミリーでのOAで引用された文献をIDSとして提出する必要があります。1つの特許事務所が全てのファミリーを管理している場合は、OAが発行される度に、引用文献がすでにIDS提出されているかどうかを検討した上で、IDS提出が必要な場合には、その旨を出願人に報告するのが一般的だと思います。しかし、例えば中国については現地の特許事務所に直接依頼して、EPとUSについては日本の特許事務所に依頼する場合は少しやっかいです。中国の特許事務所は、US出願人は関心がありませんので、IDS提出については全く考慮しません。また、日本の特許事務所は、中国の出願には関心がありませんので、中国でOAが発行されたかどうかは通常は知りません。そうすると、中国のOAでの引例についてのIDS提出は、自社が責任を持って管理を行う必要がありますが、管理にミスが生じると米国特許に重大な瑕疵が生じる結果になりかねません。
IN
インド出願継続中は、外国でのStatus変化を随時インド特許庁に通知する義務があります。この義務を怠ると、特許が取り消されてしまう可能性があります。例えば中国については現地の特許事務所に直接依頼して、INについては日本の特許事務所に依頼する場合は少しやっかいです。日本の特許事務所は、中国でのOA発行や登録については知る立場にありませんので、顧客からの連絡がなければ、CNでのStatus変化がインド特許庁に通知されないという結果が生じてしまいます。
弊所でも、CNやJPのみが弊所非管理になっているケースがあり、OA発行やStatus変化の場合には、弊所への連絡をお願いしていますが、連絡がない場合には、USやIN特許庁への連絡が漏れてしまうリスクが存在しています。
2.OA処理上の問題
中国出願を現地事務所に直接依頼した場合、OAが発行されると、現地事務所に応答案の作成を依頼する場合が多いと思います。この場合、現地事務所は、USやEPなどでどのようなOAが発行され、どのように応答したのかについては知る立場にありませんので、USやEPの応答内容を無視して、CNのOAだけを見て応答案を作成することになります。
中国の審査官は、EPやUSのOAの内容を参照してOAを作成する場合が多く、全く同一の引例が引用されることは少なくありません。引例が同じで指摘内容に大差がなければ、補正や意見書の内容は、USやEPでの内容とだいたい同じになるはずですが、中国の現地代理人は、最初から引例を検討し、独自に応答案を作成することになりますので、出願人は、その応答案を検討するために時間がかかったり、余計な費用を支払ったりすることになります。
弊所では、弊所において一人の担当者が全ての国のOA対応を行うことによって、検討の重複による無駄を排除するようにしています。