アースキーパークリスタル(指定商品:宝玉)は識別力なし
2012.09.21
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http://shohyo.shinketsu.jp/originaltext/tm/1259836.html
1 本願商標
本願商標は、「アースキーパークリスタル」の文字を標準文字で表してなり、第14類、第16類、第21類及び第41類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として平成22年11月10日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同23年4月8日付け及び当審における同年11月8日付けの手続補正書により、第14類「宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,身飾品,キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用DVDの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品の展示」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『アースキーパークリスタル』の文字を横書きしてなり、該語は、1980年代に神秘的な伝説を醸し出すために創作された造語であって、需要者に水晶の一種名と認識されているものと判断するのが相当であるから、これをその指定商品及び指定役務中「アースキーパークリスタル,アースキーパークリスタルを原材料としてなる身飾品,アースキーパークリスタルの展示」等に使用しても、単に商品の原材料、品質及び役務の質(内容)を表示しているにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、「アースキーパークリスタル」の文字を標準文字で表してなるものである。
ところで、「クリスタル(水晶)」を取り扱う業界において、「巨大なクリスタル(水晶)」(以下「巨大クリスタル」という。)を「アースキーパークリスタル」(又は「アースキーパー」)と称し、そのクリスタル(水晶)を展示し、又はそのクリスタル(水晶)を販売していることが原審説示の証拠のほか、別掲のインターネット記事からも確認することができる。
そして、水晶は、各種の装飾品の材料として一般に使用されているものであり、また、近時、「特別な力を持つ宝石や貴石。水晶など。」をパワーストーンと称し、パワーストーンに関するセミナー等の役務が広く行われているところである。
そうとすれば、「アースキーパークリスタル」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品又は指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は「アースキーパークリスタルと称される巨大クリスタルを原材料とする商品」、「アースキーパークリスタルと称される巨大クリスタルに関する役務」であることを表示したもの、すなわち商品の品質、原材料又は役務の質を表示したものと認識するにとどまるものといわなければならず、また、前記商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、該商品・役務が前記商品・役務であるかのように商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(2)請求人の主張について
請求人は、「『アースキーパークリスタル』として特定される水晶は、水晶の種類として存在しない」、「『アースキーパークリスタル』は原材料としての水晶の種類を表すものではない」及び「『アースキーパークリスタル』は出願人(請求人)が採択した固有の名称であって、取引者、需要者において、水晶の原材料・品質として認知されているものではない」旨主張する。
しかしながら、前記のとおり「クリスタル(水晶)」を取り扱う業界において、「アースキーパークリスタル」の語が「巨大クリスタル」を表示するものとして使用されている取引の実情からすれば、本願商標は、前述のとおり、これに接する取引者、需要者をして、商品の品質、原材料又は役務の質を表示したものと認識するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないと判断するのが相当である。
また、「アースキーパークリスタル」の語は、請求人が採択した固有の名称であることを裏付ける具体的な証左がないばかりでなく、原審及び別掲で示したとおり、請求人以外の者が該語を「巨大クリスタル」を表示するものとして使用している事実があるから、請求人の主張は採用できない。
(3)まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条1項16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。