「医院継承ドットコム」(指定商品:広告,経営の診断又は経営に関する助言)は識別力あり
2012.09.13
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http://shohyo.shinketsu.jp/originaltext/tm/1259871.html
1 本願商標
本願商標は、「医院継承ドットコム」の文字を標準文字で表してなり、第35類「広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,広告用具の貸与,求人情報の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成23年2月4日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『医院継承ドットコム』を標準文字で書してなるところ、その構成中、『医院継承』の文字は、『医院を継承する』程度の意味合いを容易に認識させ、『ドットコム』の文字は、インターネットのドメイン名の末尾に付けられる分野別トップレベルドメイン(gTLD)の一つで、主に商業組織に割り当てられる『.com』を認識させる。また、インターネット情報からも、開業医の高齢化に伴い、後継者不足に悩む医院が増加している一方、開業のための資金的な負担、診療所同士の競争激化等の理由で、新規開業を断念する勤務医がいるという現状から、両者の間をとりもつ、医院継承仲介事業が行われていることが見て取れる。こうした実情からすると、本願商標は全体として、『インターネット上で医院継承に関する情報を提供しているサイト』、若しくは『インターネット上での医院継承の仲介事業を行う企業』という意味合いを容易に理解させるものと認める。そうすると、これを本願の指定役務中『前記意味合いに相当する役務(例えば、医院継承のための経営の診断又は経営に関する助言、医院継承のための職業のあっせん、医院継承のための求人情報の提供)』に使用しても、自他役務識別標識としての機能を果たし得ず、本願商標に接する取引者・需要者は、何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「医院継承ドットコム」の文字よりなるところ、その構成中、「医院継承」の文字は、「医院を継承する」程の意味合いを認識させ、また、「ドットコム」の文字は、インターネットのドメイン名の末尾に付けられる「.com」を認識させるとしても、本願商標は、漢字と片仮名で同書、同大にまとまりよく書されており、一種の造語として看取されるものであって、原審説示の如き意味合いを直ちに理解させるものではなく、また、これが特定の意味合いをもって親しまれ、あるいは、特定の役務の質等を表示するものとして、一般に理解されているとは認め難いところである。
また、当審において職権をもって調査するも、たとえ、インターネット情報に「医院継承」に関する役務があったとしても、本願商標がその指定役務を取り扱う業界において、役務の質等を表示するものとして、普通に使用されている事実を見いだすことはできなかった。
してみれば、本願商標は、これをその指定役務について使用しても、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とはいえないものである。
また、これをその指定役務中のいずれの役務に使用しても、何ら役務の質について誤認を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取り消しを免れない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。