分かりにくい請求項目(タイプ代)
2012.09.14
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特許事務所からの請求書は、色々な名目の費用が含まれていますが、その中には、業界の人以外には分かりにくいものも少なくありません。
その中で最も分かりにくいのが、「タイプ代」だと思います。
だいたい1ページ当たり7000円~1万円程度なので、長い明細書だとかなりの高額になる請求項目です。
私がこの業界に入った時は、すでにパソコンを使って文書を作成しており、「タイプ」という作業は一切行なっておりませんし、タイプをするスタッフも当然いませんので、タイプ代も意味が分かりませんでした。請求する側がよく分かっていないので、請求書を受け取る側がよく分からないのも当然です。
古い人に聞いてみると、この項目は、パソコンが普及する以前は、弁理士が手書きで明細書を記載し、その内容を特許庁に提出する際に、タイプする必要があり、そのための人件費が必要なので、請求するようになったそうです。
一旦タイプしたものを修正することは大変ですし、コピペもできないですから、同じ内容も文書でも何度もタイプする必要がありますので、その時代には、このような請求項目にもそれなりの合理性はあったのだと思います。
昔の明細書は、このようなタイピングの面での制約があったので、数枚程度の短い明細書が多いように思います。最近の明細書の書き方のトレンドは、できるだけ、権利内容について包括的に記載するように、過去の関連案件の記載をコピペして盛り込んだり、化学関係だと定型的に化合物名を多数列挙したり、素子の特許では、その素子の応用例のテンプレートを全ての案件に入れたりして、ページ数が以前に比べると増える傾向があります。増えても実際は、コピペで増えているので、タイプ料が増えている訳ではありません。しかし、ページ数は増えているので、タイプ代は、その分高額になってしまいます(コピペ部分については費用を請求しない比較的良心的な事務所もあると思います。)
通常は、タイプ代は、明細書に対して請求しますが、ひどい事務所だと、審査請求書のタイプ代も請求するようです(もちろん審査請求の手数料とは別の請求です)。
パソコンの普及に伴って、だんだんと以前の「タイプ代」の合理性は失われてきたように思います。タイプ代を請求するようにすると、基本手数料を安くみせかけることができるという利点がありますが、以前のような合理性がすでに失われている点を考慮して、弊所では、料金表を作成する際に、タイプ代の項目は削除しました。