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【SKIPの知財教室(IP Hack ®)】じっくり®ヒストリー 「最古の蒸気機関」を発明した アレクサンドリアのヘロン(蒸気タービンや蒸気を利用した自動ドアなどを発明した古代ギリシア時代の天才学者)

じっくりヒストリー IP HACK

2025.07.07

AKI

私たちの身の回りには非常に多くの画期的なモノや手法であふれています。これらはすべて先人たちのアイデアによって実用化された数多くの発明のおかげです。蒸気機関が登場したのは中世ですが、紀元前の時代にはすでに蒸気を使った発明が行われていました。蒸気タービンや蒸気を利用した自動ドアなどが主な発明品です。これらの発明は「最古の蒸気機関」とも言われ、ロケットエンジンの原型であるともされています。太古の昔、蒸気を使ってさまざまな発明をしたのがアレクサンドリアのヘロンです。彼は多くの発明を残したほか、数学では測量法の改良者としても知られています。今回はそんなアレクサンドリアのヘロンの生涯を振り返っていきましょう。

ヘロンの機械工学分野の業績(世界最古の蒸気機関である「アイオロスの球」を発明する)

ヘロンの出生については明らかになっておらず、紀元前2世紀ごろとする説から、3世紀前半ごろまでとする説までさまざまなものがあります。彼は古代ギリシアの学者クテシビオスの弟子だったとする説もあり、この説が正しいとすれば紀元前2世紀後半から紀元前1世紀に活動していたのではないかとされています。

ヘロンは、蒸気を使ってさまざまな発明をしました。中でも有名なものが、「アイオロスの球」です。これは羽根のない簡単な半径流蒸気タービンであり、中央の水容器を熱することで回転します。記録に残っている世界初の蒸気機関とされ、産業革命が起こる中世よりも2000年も早く蒸気機関の可能性が見出されていたのです。

ヘロンはその他にも、多くの発明を残しました。密閉された容器を祭壇の炎によって熱し、そこから噴出する空気を用いて別の容器から水を移動させ、その水の重みでロープを引っ張って神殿の扉を開けるというものや、マシンの最上部にある投入口からコインを入れると、決まった量の聖水が出てくるいわば自動販売機のようなもの、さらに風力を使ったオルガンなど。

また、ヘロンはギリシアの劇場における様々な仕掛けも発明しました。中には円柱形のギアを回転させて動く簡単な仕掛けと、ロープの結び目を用いた二進法の様なシステムを用いて、完全な機械仕掛で10分間も動き続けるようなものもありました。機械的に一定の間隔で落下する金属球を用いて隠れたドラムを鳴らし、雷の音を鳴らす仕掛けも彼の考案によるものです。

ヘロンの数学分野の業績(三角形の面積を求める公式である「ヘロンの公式」を考案する)

ヘロンはまた、数学においても重要な功績を残しています。三角形の面積を求める公式である「ヘロンの公式」は彼が考えたものです。この公式は、アレクサンドリアのヘロンが彼の著書『Metrica』の中で証明を与えていることで知られています。しかし現代では、これ自体はシラクサのアルキメデスにも既知であったと考えられていて、さらにそれ以前から知られていた可能性についても指摘されています。

なお一般化として、円に内接する四角形の面積を辺の長さから求めるブラーマグプタの公式があり、さらには円に内接するという条件を外し、角度も用いて四角形の面積を求めるブレートシュナイダーの公式があります。ヘロンの公式は、これらの公式の特別な場合となっています。

今回は、世界で初めて蒸気を用いて発明を行ったアレクサンドリアのヘロンの生涯を振り返りました。蒸気機関が登場したのは18世紀ごろですが、ヘロンはそれよりもかなり早い段階で蒸気機関の可能性に気がついていました。蒸気の持つ汎用性を活かして、さまざまな発明をした彼の知識は多くの人の生活に役立ったことでしょう。発明が繰り返されてきた歴史は奥深く、非常に面白いものですね。

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