業務内容

機械

技術分野の特徴 機械分野においては、一つの製品を多数の特許で保護してやる必要があるため、電気・電子分野や情報・IT・ソフトウェア分野と同様に、数多くの特許を出願して強力な特許ポートフォリオを構築するという、いわゆるパテントウォール戦略が重要になります。

そのためには、例えば、デザイン思考によって生み出された一つの新製品の3D-CADによる設計図を加工して、その製品を単なる機械の構造や発揮される機能のみならず、デザインやユーザインターフェースなどの多面的な観点から保護するための複数のコンパクトな特許をコストパフォーマンスよく権利化することが重要になります。よって、他の技術分野と異なり、機械分野の特許出願を担当する弁理士・特許技術者にとって、3D-CADによる作図能力は、もはや必須の能力と言っても過言ではないでしょう。

また、自動車、建設機械、農業機械、工作機械などの機械産業においては、日米欧韓台のような先進国だけでなく、いかにして中国、東南アジア、インド、ブラジルのような新興国市場の成長を取り込むかが重要な状況になっています。そのため、機械分野においては、先進国で知財戦略をフル活用して事業拡大の機会を増やす一方で、新興国における知的財産保護に関するリスクを考慮する必要があります。
3D-CADによる作図能力 3D-CAD(コンピュータ支援設計)は、多くの産業、特に機械分野でますます重要なツールとなってきています。3D-CADは2次元ではなく3次元で製品を設計することができ、従来の設計方法よりも高い精度と詳細な情報を提供することができます。また、設計から完成までの時間を短縮し、生産工程を簡素化することができます。さらに、既存の製品をリバースエンジニアリングして、生産用に改良したモデルを作成することも可能です。さらに、3D-CADソフトウェアには、モーション・シミュレーション、構造解析、モーション・トラッキングなど、さまざまな追加機能が搭載されていることがよくあります。これらの機能は、機械分野のあらゆる製品設計に欠かせないものとなっています。

機械分野の特許出願には、クレームや明細書とともに、3D-CADソフトウェアで作図された精緻な図面を提出する必要があります。これは、特許庁が特許出願の技術的範囲を図面を参照した上で明確に理解する必要があるためです。このような特許図面は、正しい形式で提供され、当局が定めた基準に適合している必要があります。そのため、機械分野の弁理士や特許技術者は、3D-CADで図面を作成するために必要な技術力を有し、設計やレイヤリングの概念を理解していることが重要です。さらに、3D-CADでの図面の作成に使用される最新のソフトウェアに精通している必要があります。また、理解しやすい技術図を正確に作成するために、設計プロセスに関する知識も必要です。
新興国の知的財産権制度 先進国の製造業が、先進国の市場の成熟化にともなって、新興国市場に進出するケースが増える中、新興国でも通用する知的財産戦略を立てる必要が出てきています。特に自動車、建設機械、農業機械、工作機械などの機械産業においては、技術やイノベーションが利益の向上や競争力の強化につながるため、その重要性が増しています。企業は、特許、実用新案、意匠、商標など、自社の知的財産を保護するためにうまく知的財産ミックス戦略に基づいて適切な計画を立てる必要があります。優れた知的財産戦略には、徹底したリスク評価の実施、対象市場の規制の検討、その国の知的財産制度の理解、知的財産を保護するための社内運用ルールの構築などが含まれます。

先進国の企業が新興国市場で事業を展開する場合、新興国での知的財産保護に関連する法的基盤を理解する必要があります。多くの新興国市場では、知的財産権の保護および行使が緩やかで、知的財産権を審査段階でアンチパテントな審査実務によって脆弱な権利にしてしまうケースが多く、そのようなアンチパテントな状況を利用して、現地のメーカーが同じ製品をより簡単に模倣して、安価に模倣品を生産して先進国の企業の市場シェアに食い込んでくる場合があります。そのため、先進国の企業は、事業を展開している国の知的財産保護に関連する様々な法律や規制、そしてこれらの法律が自社の事業にどのような影響を及ぼすかを認識しておく必要があります。

新興国市場での事業展開を考えている先進国の企業にとって、知的財産を保護するための重要な戦略がいくつかあります。ひとつは、特許や商標などの知的財産を、事業が行われている現地の管轄区域できちんと登録することです。こうすることで、企業は現地の法律のもとで確実に知的財産を保護することができます。さらに、知的財産の使用状況を監視し、模倣品やコピー商品から保護するためのシステムを構築する必要があります。また、現地当局や規制当局と協力し、知的財産権の尊重と執行を徹底する必要があります。
まとめ 機械分野の企業にとって、知的財産の保護は非常に重要です。そのため、デザイン思考によって生み出された一つの新製品を保護するために、多面的な観点から数多くの特許を出願して、先進国および新興国の双方で強力な特許ポートフォリオを構築するという、いわゆるパテントウォール戦略を実行することが、ビジネスにおける優位性の確保において重要になります。また、機械分野の企業にとって、新興国市場の重要性は高まり続けています。そのため、新興国における法律やインフラを理解することで、企業は自社の知的財産をより適切に保護し、盗用や悪用されないようにすることも重要です。

SKIPでは、機械分野の技術知識に優れるのみならず、研究者またはエンジニアとして機械設計の経験もあり、3D-CADによる作図能力にも優れた弁理士・特許技術者によって、多数のコンパクトな特許をコストパフォーマンスよく権利化して強力な特許ポートフォリオを構築させていただきます。また、その特許ポートフォリオを用いてどのようにして先進国や新興国で知財戦略を実行して自社の優位性を確保すればよいかについて、クライアント企業に適切なアドバイスを差し上げます。