【SKIPの知財教室(IP Hack ®)】じっくり®法解説 Claim #16 AI関連発明の出願状況は?コンピュータソフトウェア関連発明の審査基準も解説
2025.07.17

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AI関連発明の出願状況は?コンピュータソフトウェア関連発明の審査基準も解説
近年、ディープラーニングや生成AIをはじめとする人工知能(AI)技術の急速な進化に伴い、AI関連の特許出願が世界中で急増しています。日本国内でも特許庁による審査基準が整備され、AI技術の発明がさまざまな分野で保護されるようになっています。本記事では、AI関連発明の最新の出願動向と、コンピュータソフトウェア関連発明の審査基準についてわかりやすく解説します。
AI関連発明の出願状況
AI関連発明は、2014年以降に出願件数が急激に増加しています。2022年には日本国内だけでも約10,300件のAI関連特許出願が行われました。中でも、AIのコア技術を示す分類(FI:G06N)が付与された出願は約3,000件となり、やや伸びが落ち着きつつも引き続き高水準を維持しています。
近年では、ChatGPTなどの生成AIが登場し、AI技術が学術界だけでなく社会全体に大きな影響を及ぼしています。今後、さらに新しいAI技術に基づく発明が登場することが予想されます。
AIが適用される技術分野も拡大中
AI関連発明は、コア技術(G06N)だけでなく、多様な分野に応用が進んでいます。出願件数が多い主な分類は以下のとおりです。
●G06T、G06V(画像処理・認識)
AIによる画像認識・映像解析などで多く利用されています。
●その他の分野
AI技術の応用先がさらに多様化しており、音声認識、自然言語処理、自動運転、医療診断などにも拡大中です。
AI技術の中身別の出願傾向
AIの技術要素別に見ると以下のような傾向が見られます。
●CNN(畳み込みニューラルネットワーク)
画像認識などで使用され、2014年以降出願件数は右肩上がりで増加。
●深層強化学習
近年は横ばい傾向が続いています。
●トランスフォーマー
2020年以降、生成AIなどで活用が拡大し、深層強化学習を超える出願件数に伸びています。
各国のAI関連出願状況
国際的にもAI関連発明は活発に出願されています。特に中国が突出しており、G06N分類での出願件数は五大特許庁中トップです。以下は2021年の出願件数の一例です。
2021年の各国(G06N分類=AIコア技術)の出願件数は以下のようになります。
| 国・地域 | 2021年出願件数(G06N分類) |
| 日本(JP) | 2,309件 |
| 米国(US) | 18,791件 |
| 欧州(EP) | 3,747件 |
| 中国(CN) | 66,655件 |
| 韓国(KR) | 8,768件 |
コンピュータソフトウェア関連発明の審査基準とは?
AI関連技術の多くはソフトウェア技術を基盤としています。日本の特許庁では、AIやIoTの普及を受けてコンピュータソフトウェア関連発明の審査基準を改訂しました。
ソフトウェア発明が「発明」に該当する要件
ソフトウェア発明が「発明」に該当する要件には「発明該当性」「新規性」「進歩性」があります。例として、発明該当性の要件を解説します。
(i) 機器等に対する制御やそれに伴う処理を具体的に行うもの
たとえば、以下のように 機器の構造や機能に基づき、その制御を行うソフトウェア は「発明」に該当します。
(i-1) 制御対象の機器等の構成・特性・動作に基づき制御するもの
例:炊飯器の加熱制御、洗濯機の運転制御、エンジンの回転数制御など
(i-2) 機器の使用目的に応じた動作を具現化させる制御
例:プリンタの印刷モード制御、冷蔵庫の冷却サイクル最適化など
(i-3) 複数の機器で構成されるシステム全体を統合的に制御するもの
例:スマートホームにおける家電連携制御システムなど
(ii) 技術的性質に基づく情報処理を具体的に行うもの
次のように 対象の技術的性質に着目した情報処理を実行するソフトウェア も「発明」として認められます。
(ii-1) 技術的性質を表す数値・画像などに基づく演算・処理
例:生体の遺伝子配列解析、画像ノイズ除去、化学反応条件の最適化
(ii-2) 対象の状態と現象との技術的相関関係を利用する処理
例:生産ラインの品質管理システム、気象データに基づく災害予測処理
(iii) コンピュータリソースを用いた情報処理(ビジネス・ゲーム等も含む)
ビジネス手法、ゲーム、数式演算のように一見技術とは離れて見えるものでも、コンピュータのハードウェア資源(CPU、メモリ、入出力装置など)を用いて具体的に処理を実現していれば発明に該当する可能性があります。
2018年の審査基準改訂のポイント
AIやIoTなど新たな技術の発展に伴い、ソフトウェア関連発明は多様な技術分野に広がりつつあります。これにより、審査現場では、発明該当性(特許の対象となるかどうか)や進歩性の判断について、審査官や出願人が共通の理解を持てる基準が一層重要になっています。
一例として、今回の審査基準改訂では、基本的な審査方針自体は維持しつつ、ソフトウェア関連発明に関する「発明該当性」の判断基準が明確化されました。改訂のポイントについて詳しくは、特許庁の資料をご覧ください。
出典:特許庁「コンピュータソフトウェア関連発明に係る審査基準及び審査ハンドブックの改訂のポイント」
出典:特許庁「附属書B 第1章 コンピュータソフトウェア関連発明」
まとめ
AI関連発明は今後の技術革新の中心となる分野であり、国内外で出願件数が拡大を続けています。とくに日本でもG06N(AIコア技術)をはじめ、画像認識・自然言語処理・生成AIなど様々な応用技術が特許出願の対象となっています。
また、コンピュータソフトウェア関連発明も審査基準が整理され、技術的思想として適切に設計されたAI・IoTソフトウェアは発明として特許化が可能です。企業にとっては自社技術を適切に権利化することで、競争優位性を確保する重要な時代となっています。
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