【SKIPの知財教室(IP Hack ®)】じっくり®法解説 Claim #10 産業財産権の活用方法は?権利侵害への対応についても解説
2025.06.05

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産業財産権の活用方法は?権利侵害への対応についても解説
産業財産権(特許、実用新案、意匠、商標など)は、企業の競争力を高める重要な資産です。しかし、その活用方法や権利侵害に対する対応を誤ると、大きな損失を招く可能性があります。本記事では、産業財産権の活用方法やライセンス契約の種類、権利侵害が発生した場合の対応策について解説します。
産業財産権利用形態の類型
企業が産業財産権を持っている場合、それを「どう使うか」は利益に直結する重要なポイントです。
産業財産権(特許・実用新案・意匠・商標など)の活用方法にはいくつかのパターンがあり、事業戦略や市場の状況に応じて最適な形を選ぶことが求められます。
ここでは主な3つの形態について紹介します。
独占
産業財産権の最も基本的な使い方は、「独占的に自社で活用する」ことです。
他社にライセンスを与えず、自社だけが権利を使って製品を作ったり販売したりすることで、市場での優位性を確保し、高い利益を期待できます。
ただし、メリットがある一方で、次のような注意点もあります。
- 市場を常に監視し、自社権利を侵害する他社製品に気付く必要がある
- 無効審判を起こされるリスクがある
- 権利の囲い込みによって技術の普及が進まず、利益が伸び悩む可能性も
「利益が出るか」は、独占するだけでなく市場環境とのバランスで決まるため、冷静な戦略が求められます。
ライセンス
ライセンスとは、自社が持つ産業財産権を他社に一定の条件で使わせる契約です。
特許権者(ライセンサー)は実施の見返りに対価(ロイヤリティ)を得ることができ、ライセンスを受ける側(ライセンシー)は研究費・開発時間を短縮しつつ、有用な技術をすぐに活用できます。
【ライセンサーのメリット】
- 使用料を得られる
- 特許取得にかけたコストを回収できる
【ライセンシーのメリット】
- 自社技術では補えない技術をすぐ導入できる
- 特許侵害リスクを回避できる
- 提携・協業のきっかけにもなる
特許権等の移転
将来的に自社でその発明を使う予定がなかったり、他社の方が市場展開力があると判断した場合、特許権を売却・譲渡してしまうという選択もあります。
メリットは下記のとおりです。
- ライセンスより高額で取引できる可能性がある
- 特許の年金(維持費)や管理コストが不要になる
ただし、一度譲渡してしまうと、その権利は戻ってこないため、慎重な判断が不可欠です。
ライセンスの類型
産業財産権のライセンスには、企業の戦略や技術の特性に応じて多様な形態があります。ライセンスの類型について解説します。
専用実施権の設定
「専用実施権」は、特許発明を他社に独占的に使用させる権利です。これを設定すると、その特許の発明を特許権者は実施できなくなります。
メリット: 専用実施権者は、特許権者と同じ権利を持ち、無断使用した第三者に対して訴訟ができます。このため、通常実施権よりも高額の対価を得られることが多いです。
通常実施権の許諾
「通常実施権」とは、特許発明を他社に使用させる権利ですが、専用実施権者のように無断使用に対して訴訟を起こすことはできません。
特許権者は複数の企業に許可を与え、収益を得ることができます。
近年の法律改正により、通常実施権者は特許権者が変わっても実施権を続けられるようになりました。
再実施権(サブライセンス)
再実施権とは、特許などの使用権(ライセンス)を持っている人や会社が、その権利をさらに第三者に使わせることができる権利です。
例えば、親会社が特許をライセンスとして持っていて、子会社に使わせたい場合でも、最初の契約で再実施が認められていないと、勝手には使わせられません。
また、再実施権の契約は、元の契約(主契約)が終了すると自動的に終わります。似たように見える「下請けに製造を任せる」ケースとは法律的に扱いが異なるため、注意が必要です。
部分ライセンス
部分ライセンスは、特許や商標などの権利を一部の地域や特定の製品分野に限定して他社に使わせる方法です。
例えば、自社は関東での販売が得意だけど関西は弱い場合、関東は自社で独占し、関西では実績のある他社にライセンスを出して販売してもらうという戦略です。
この方法は比較的リスクが少なく、効率よく利益を得やすいですが、契約内容が複雑になりがちなので、事前の準備が大切です。
クロスライセンス
クロスライセンスは、2つの企業が互いの特許権を交換して、双方が製品を販売できるようにする契約です。
例えば、自社と他社が似た製品を同時期に開発した場合、お互いに特許権が必要となり、クロスライセンスを結ぶことで市場に製品を出せます。
特許権が重なる問題を解決し、両社で市場を独占することが可能です。
産業財産権のプール
産業財産権のプールとは、同じ業界の企業同士が自分たちの特許や商標などの権利を出し合って、まとめて管理し、全体で市場をコントロールする方法です。
これはクロスライセンスの応用形ともいえます。
たとえ各社が単独では強い権利を持っていなくても、集まることで大きな力を持つことができます。
ただし、契約内容が複雑になるうえ、やり方によっては独占禁止法に違反するリスクもあるため、慎重な対応が求められます。
権利侵害への対応方法
特許権が侵害されている場合、特許権者は民事的な手段として、いくつかの救済措置を求めることができます。まず、差止請求権として、特許権者は侵害を停止させることを求めることができます。
侵害品やその製造設備の廃棄を求めることも含まれます。次に、損害賠償請求権があり、特許権者は侵害によって生じた損害を賠償するよう侵害者に求めることができます。損害賠償額を算定するのは難しい場合が多いですが、特許法ではその算定に特別なルールを設けています。
信用回復措置請求権もあり、特許権者は侵害行為により業務上の信用が損なわれた場合、謝罪広告を求めることができます。さらに、不当利得返還請求権として、侵害者が得た利益を返還させることができます。これらの請求権には時効があり、一定期間内に行使しないと消滅することに注意が必要です。さらに、特許権を侵害した場合、刑事罰として懲役や罰金が科せられることもあります。
産業財産権の活用方法についてはSK弁理士法人までご相談ください
産業財産権の活用にはさまざまな形態があり、企業の戦略に合わせた最適な選択が求められます。
SK弁理士法人では、特許、意匠、商標をはじめとする産業財産権に関するあらゆる問題に対応しています。特に、海外展開に伴う知財の課題に強みを持ち、国ごとの制度に精通した専門家が最適なアドバイスを提供いたします。産業財産権に関して、SK弁理士法人までお気軽にご相談ください。


