【SKIPの知財教室(IP Hack ®)】じっくり®法解説 Claim #7 外国での権利取得はどうする?特許・実用新案や意匠・商標の取得を解説
2025.04.22

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外国での権利取得はどうする?特許・実用新案や意匠・商標の取得を解説
グローバル展開が進む今、国内で知的財産を守るだけでは、企業の技術やブランドを十分に保護できません。模倣品や不正使用から自社の資産を守るためには、海外での権利取得を戦略的に行うことが不可欠です。
しかし、国によって制度が異なるため、どの国で・どのタイミングで・どの制度を利用して出願すべきか、判断に迷う企業も少なくありません。
本記事では、特許・実用新案・意匠・商標において、外国で権利を取得するための基本的な仕組みと、それぞれの出願ルートの特徴をわかりやすく解説します。
外国での権利取得「特許・実用新案」
海外で特許や実用新案の権利を取得するには、主に2つのルートが存在します。1つは、取得を希望する各国の特許庁へ個別に出願を行う「直接出願」という方法です。もう1つは、国際的な枠組みである特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づいて、国際事務局を通じた統一的な出願を行う「PCT国際出願」です。
直接出願の際には、出願先の国ごとに異なる出願様式や言語に対応した書類を準備する必要があり、場合によっては現地の代理人に依頼して手続きを進めるケースも少なくありません。また、国によって審査の基準や期間も異なるため、出願後の対応も含めた煩雑さが伴います。
PCT国際出願は、特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づき、国際的に定められた共通の様式による出願書類を自国の特許庁に一度提出するだけで、その時点で有効な全てのPCT加盟国に対して出願したのと同じ法的効果が得られます。
つまり、1通の国際出願で世界中の多くの国々に対する「国内出願」と同じ立場を確保できるのです。
外国での権利取得「意匠」
海外において意匠権を取得するためには、各国の制度に即した適切な手続きを選択することが重要です。国際的に意匠を保護するためには主に2つの出願ルートがあり、それぞれに特徴があります。
まず1つ目は、保護を求める国または地域の特許庁に対して、個別に出願する「直接出願」です。各国の法制度に従って、それぞれ異なる書式や言語で出願書類を準備し、現地の代理人を通じて提出する必要があります。国や地域ごとに手続きが異なるため、複数国に出願する場合は、手間やコストがかかることも少なくありません。
もう1つは、国際的な枠組みである「ハーグ制度」に基づく出願方法です。正式には「ハーグ協定のジュネーブ改正協定」に基づいており、WIPO(世界知的所有権機関)の国際事務局を通じて、単一の出願で複数の国に対して意匠の保護を求めることができます。
出願書類は一度の提出で済み、国際事務局が登録と公表を行った後、各指定国に通知が送られ、審査と保護が進められます。出願人にとっては手続きが簡素化され、複数国への一括出願という利便性が最大のメリットとなります。
外国での権利取得「商標」
企業が海外で商品やサービスを展開する際、現地でのブランド保護を確実にするためには、商標権の取得が欠かせません。国際的に商標権を取得する方法は主に2つあり、出願人のニーズや出願先国の数に応じて適切な方法を選ぶことが重要です。
1つ目の方法は、出願を希望する国ごとに、それぞれの特許庁に対して個別に商標出願を行う「直接出願」です。各国の様式や言語に応じた書類を準備し、現地代理人を通じて手続きを行う必要があります。
また、出願後の管理や更新も国ごとに行う必要があり、複数国に出願した場合にはその分手間も煩雑になります。国によって審査基準や登録期間、保護の要件が異なるため、制度理解と対応力が求められる出願方法と言えます。
これに対して、もう1つの方法である「マドプロ出願」は、国際的な商標保護を簡便に実現する仕組みとして、多くの企業に活用されています。マドプロ制度は「マドリッド協定の議定書」に基づく制度で、日本国内での商標出願または登録を基礎に、世界知的所有権機関(WIPO)を通じて複数の加盟国に一括で出願することが可能です。
出願人は、日本国特許庁(本国官庁)を経由して出願書類を提出し、そこで形式審査と基礎との一致確認を受けた後、WIPOの国際事務局へ送付されます。国際事務局は出願内容を登録し、指定された各国に通知を行います。以降は各国の商標庁がそれぞれの審査を行い、問題がなければ登録が認められるという流れです。
マドプロ出願の最大の利点は、1つの出願手続きで複数国への出願効果を持つことにあります。さらに、登録後の管理や更新もWIPO経由で一元的に行えるため、国際的にビジネスを展開する企業にとって大きなメリットとなります。
令和6年4月時点で、マドプロ制度に加盟している国・地域・政府間機関は114にのぼり、中国、韓国、アメリカ、欧州連合など、主要な貿易パートナーが数多く含まれています。つまり、マドプロ制度を活用すれば、世界の主要市場において商標保護を効率的に実現できるということです。
まとめ
海外での知的財産権の取得は、製品の模倣対策やブランド保護だけでなく、現地市場での信頼構築やビジネスの安定性にも直結します。
SK弁理士法人では、国ごとの制度に精通した専門家が、特許・意匠・商標の国際出願に関するあらゆるご相談に対応しています。
海外展開にともなう知財の課題を安心して任せられるパートナーをお探しの方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

