「米国ではジェネリック薬の承認申請が侵害行為になる”>米国ではジェネリック薬の承認申請が侵害行為になる」で記載したように、
ANDAの最初の申請者が販売を始めなければ、二番目以降の申請者は、いつまで経っても販売を始められないことになります。
二番目の申請者は、販売を早く始めたい場合、裁判所に、非侵害又は特許の無効の判決を求める確認訴訟(Declaratory Judgment Action, DJ Action)を起こすことを考えます。裁判所が非侵害又は特許の無効の判決を出せば、それから180日後にANDA申請が受理されるからです。
米国では、DJ actionを起こすには、”case or controversy”(争い)が憲法上、必要とされています。警告状が送付されてきたような場合は問題なく認められますが、特許訴訟に突入するおそれが具体的でない段階では、”case or controversy”がないとの理由でDJ actionが却下される場合があります。
以下のPatently-oの記事の事件では、特許権者が二番目の申請者に対して”covenant not to sue”(訴えない約束)をしました。そうすると、二番目の申請者は、訴えられる危険性がなくなりました。このような場合に、”case or controversy”が存在しているかどうかが争いになりました。
Teva v. Eisai: Standing for subsequent Paragraph IV filers
地裁は”case or controversy”がないとして、DJ actionを却下しました。これに対して、CAFCは、「特許権者がorange bookに特許を載せたことで、二番目の申請者が損害を受けていることは明らかである。従って、二番目の申請者は、訴訟を受ける地位(standing)がある」と判断しました。