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【SKIPの知財教室(IP Hack ®)】じっくり®ヒストリー CD・DVD・Blu-rayを発明した ケイス・スホウハメル・イミンク(CD・DVD・Blu-rayなどの発明で1000を超える特許を取得した偉大な発明家)

IP HACK

2025.04.07

AKI

私たちの身の回りには非常に多くの画期的なモノや手法であふれています。これらはすべて先人たちのアイデアによって実用化された数多くの発明のおかげです。コンパクトディスクやCD、DVDなどは私たちが映像や音楽を視聴するのに欠かせないアイテムとなっています。かつてはLPやカセットなど、録音・撮影したものを再生する道具はその姿を時代とともに変えていきました。現在はデジタルの全盛期ともいえる時代で、その録音システムのほとんどはある1人の人物が研究によって導き出した方法を利用しています。デジタルビデオとデジタルオーディオの時代を切り拓いたのは、オランダの科学者・発明家・起業家のケイス・スホウハメル・イミンクです。彼はコンパクトディスクやDVD・Blu-rayなどの発明で1000を超える特許を取得しており、さらにデータ保存に関する符号化システムの研究で工学に貢献しました。今回はそんなケイス・スホウハメル・イミンクの生涯を振り返っていきましょう。

ケイス・スホウハメル・イミンクの前半生(レーザーディスクに続いてCDを発明する)

ケイス・スホウハメル・イミンクは1946年、オランダで生まれました。大学を卒業後、1967年にアイントホーフェンのフィリップス物理学研究所に入社し、30年間勤め上げました。1972年までヘンドリック・カシミールが研究所所長を務めており、イミンクは彼のもとでさまざまな研究を行いました。研究所内にはいくつものグループがあり、それぞれに研究を行っていました。イミンクも多くのグループに所属し、科学の知見を蓄えていきました。1974年、イミンクは光学を研究するグループに加わりました。このグループでは光学レーザーディスクシステムに関する最先端の研究ができました。

イミンクの活躍もあり、新しいレーザーディスクシステムが完成。フィリップスはアメリカのアミューズメント企業であるMCAと共同でこのレーザーディスクをリリースしました。VHSが登場する以前のこの時代、高画質な映像を残せるレーザーディスクは富裕層を中心にシェアを集めていきました。最初は1978年にアトランタで発売され、マニアや高所得層の好感触を得たものの、ブームは長続きしませんでした。レーザーディスクはLPよりも大きなサイズのために場所をとることや、長時間の録画をするにはディスクを裏返す必要がありました。これらの欠点に加え、庶民には手を出せないような価格だったこともヒットに繋がらなかったと考えられます。最終的に、1981年にレーザーディスクの販売は中止されました。

イミンクは同時期にいくつもの発明を行いました。レーザーディスクの研究をしている中、彼はコンパクトディスク(CD)の研究にも着手していました。1976年にフィリップスはソニーと手を結び、光学式ビデオディスク技術に基づいたデジタルオーディオディスクプレーヤーのプロトタイプを発表しました。ソニーはこれまでにビデオ信号の形式を使ったデジタルオーディオ機器を開発していましたが、光ディスクに直接データを記録できるフィリップスの技術に注目したのです。CDの規格について一悶着があったものの、ソニーとフィリップスを含めて29の関連会社と協議のうえ、1980年にフィリップスの提示した規格が採用されました。

ケイス・スホウハメル・イミンクの後半生(DVDやBlu-rayを発明して規格争いにも勝利する)

その後、イミンクはソニーの共同研究者とともにさまざまな実験を行いました。CDにもさらなる改良を加え、ミニディスクやCDビデオなどといった技術を次々に生み出していったのです。

デジタルオーディオの進化は止まることを知らず、2000年代に入るとDVDやBlu-rayなどの規格が登場しました。DVD規格の争いは、東芝がフィリップスに迫ったものでした。1993年、東芝はCDの後継となるSDを開発しました。これを受けて、フィリップスはMMCD規格を発明します。この争いにはIBMの社長ルイス・ガースナーが仲裁に入り、フィリップス側がSDを認める形で終結しました。フィリップスはDVDの規格を勝ち取れなかったことを挽回するため、DVDの後継となり、青色レーザーを使用したデジタルビデオレコーダーの開発に乗り出しました。当初はDVRと呼ばれたこの規格は、のちに「Blu-ray」と呼ばれるようになり、設計から7年後の2005年に発売の日を迎えました。青色レーザーの規格争いは東芝がDVDフォーマットから撤退したことで、フィリップスの勝利で終わりました。

1998年に、イミンクは30年以上在籍したフィリップス研究所を退社。アメリカで新会社を立ち上げると、新しい符号化技術の開発に成功しました。アメリカで約10件の米国特許を取得したイミンクは生涯における功績を讃えられ、いくつもの大学や研究期間で理事を務めました。彼が受賞したトロフィーは数えきれないほどです。

今回はデジタルオーディオの研究に多くの時間を費やし、CDやDVD、Blu-rayなどの開発の立役者となったケイス・スホウハメル・イミンクの生涯を振り返りました。フィリップス研究所における彼の活躍は素晴らしく、ソニーと協力したことでデジタルオーディオの世界に改革をもたらしました。次々に新しい製品が生まれ、技術が進化していくこの現代で、次にどんな発明が生まれるのか、非常に楽しみですね。

 

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