ブログ

平成23年法律改正ざっくり5 審決の確定の範囲等に係る規定の整備

2012.03.09

伊藤 寛之

特許法等の一部を改正する法律(平成23年6月8日法律第63号)
平成23年法律改正(平成23年法律第63号)解説書
第1章 通常実施権等の対抗制度の見直し
第2章 冒認出願等に係る救済措置の整備
第3章 審決取消訴訟提起後の訂正審判の請求の禁止
第4章 再審の訴え等における主張の制限
第5章 審決の確定の範囲等に係る規定の整備
(訂正審判)
3 二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに第一項の規定による請求をすることができる。この場合において、当該請求項の中に一の請求項の記載を他の請求項が引用する関係その他経済産業省令で定める関係を有する一群の請求項(以下「一群の請求項」という。)があるときは、当該一群の請求項ごとに当該請求をしなければならない。


現状
無効審判→請求項ごと(条文)
訂正請求→請求項ごと(最高裁判例
訂正審判→特許全体
問題点
訂正請求と訂正審判の制度が異なるのは一貫性がない
訂正請求で、無効審判に関係する請求項以外の請求項について審決確定時期が不明確
改正
訂正審判も請求項毎にできるようにする(但し、従属関係がある場合は親請求項もまとめて請求する)
訂正請求は、一群の請求項ごとに確定することを明確化
訂正審判は、新たな特許を付与するのと同等であるとの理由で、特許全体に対して請求できるとされてきました。訂正審判について、請求項ごとの請求を認めるのであれば、出願段階でも、請求項毎の審理判断をするようにするのが合理的だと思いますが、今回はその点は改正されませんでした。
米国などでは、二回目のOA以降についても全ての請求項について特許性判断をしてくれますが、
日本の多くの審査官は、一回目のOAでは、全ての請求項について判断しますが、二回目以降は、実質的に請求項1以外は見ていないように思えます。請求項毎に審査請求料を払っているのにあんまりだと思います。現状の法制度は、広い権利取得を試みるのはリスクがありすぎるので、どうしても安全目に補正せざるを得ない場面があります。いい発明を適切に保護するには非常に重要な点だと思いますが、今回の法改正では考慮されませんでした。
第6章 無効審判の確定審決の第三者効の廃止
第7章 料金の見直し
第8章 特許料等の減免に係る関係法令の見直し
第9章 発明の新規性喪失の例外規定等の見直し
第10章 出願人・特許権者の救済手続の見直し
第11章 商標権消滅後一年間の他人の登録排除規定の廃止

アーカイブ