実用新案技術評価書請求時にはしっかりと先行技術調査をして特許性を十分に主張する必要あり
2010.10.01
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実用新案登録に基づく権利行使を行うには、実用新案技術評価書の請求が必要です。
実用新案技術評価書は、審査官が考案の登録性を判断するものであり、拒絶理由通知に類似したものですが、
それに対する反論の機会が一切与えられていないところが大きく異なります。
従って、技術評価書において、考案が新規性又は進歩性を有さないという評価を受けた場合、それに対する対応策は、非常に限られてしまいます。
評価が悪くても権利行使自体は可能ですが、悪い評価に基づいて権利行使を行うと、権利者には、賠償責任が課せられてしまうので、恐ろしくて、権利行使が非常に困難になります。
悪い評価に対する対応策としてパッと思いつくのは、特許法46条の2の規定に基づく特許出願への変更です。しかし、条文を見てみると、「権利者が評価書を請求した場合にはダメ」って書かれていますので、この方法は使えません。
次に、考えつくのは、評価書請求書の【請求人の意見】の欄に、引例との差別化事由を十分に記載して、再度、評価書請求を行うことです。これでいけるかなと思いましたが、特許庁に電話で聞いたところ、再度の評価書請求があった場合、請求項の内容が以前のものと異なっているかどうかが検討され、【請求人の意見】は事実上参酌されず、請求項の内容が変わっていない場合、評価書の内容が変更されることはないとの回答をもらいました。この回答が絶対的に正しいかどうかは分かりませんが、このような回答をもらってしますと、再度の評価書請求を行う勇気がありません。
次に、考えつくのは、14条の2に基づく訂正です。この規定による訂正では、比較的自由に請求項の内容を変えることができるので、評価書での評価を変えるための有力な方法です。ただし、この訂正を使えるのは、1回限りであり、しかも、評価書の送達日から2ヶ月以内に請求する必要があります。
このように、一旦、評価書が出てしますと非常に辛い立場に追い込まれてしまいます。従って、評価書請求は、非常に慎重に行う必要があります。評価書請求時に十分な調査を行って、審査官が引用しそうな文献を【請求人の意見】に引用して、その反論を行っておくことが必要だと思います。また、ヤバめの文献が見つかった場合には、特許出願に変更して、審査官と真っ向から対決するのもいいと思います。
また、すでに悪い評価の評価書が出てしまった場合には、2ヶ月以内に訂正を行った上で、その評価書で引用された文献に対する反論を【請求人の意見】の欄に記載した上で、再度、技術評価書請求を行うのがいいと思います。
【書類名】 実用新案技術評価請求書
【あて先】 特許庁長官殿
【実用新案登録番号】 実用新案登録第0000000号
【評価の請求に係る請求項の数】 2
【評価の請求に係る請求項の表示】 請求項1、請求項2
【請求人】
【識別番号】 000000000
【氏名又は名称】 実用 三郎
【代理人】
【識別番号】 000000000
【弁理士】
【氏名又は名称】 代理 太郎
【手数料の表示】
【予納台帳番号】 000000
【納付金額】 44000
【請求人の意見】
本実用新案登録は・・・・・